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§2.農産物としてのコーヒー

 コーヒー豆の本質的な味を理解するためには,まずはコーヒーが「植物であって農産物である」 ということをしっかりと理解しなくてはなりません。つまり,工業製品ではなく,お米や野菜や果物などと同じであるということです。

 コーヒーはアカネ科の植物で,そのまま育つと5m以上にもなります。 コーヒーの農園では,作業しやすいように2~3m程度の大きさになるよう管理されています。 植え始めてから3~5年たつと,白くてきれいな花を咲かせ,そして実を結びます。 実は熟してくるとだんだんと赤い色になってきて,ちょうどサクランボのようになり"チェリー"と呼ばれます。 このチェリーの中に入っている種子が,いわゆるコーヒー豆です。

 ある一つのコーヒーの香味は,たくさんの要素が複雑に絡み合って成り立っています。 例えば,品種や栽培の方法によっても味が変わりますし,また産地の土壌や気候の特徴などによっても違った味になります。 整理してみると,コーヒーの香味の特徴は,次の三つがもとになって生み出されると言えます。

  1. コーヒー豆の品種
  2. 生育環境(地域・高度・気候・土壌など)
  3. 栽培方法や収穫後の処理のしかた(精製・乾燥)

 それぞれの具体的な違いについては,後ほどお話しすることにしますが, ここではコーヒーの香味が"畑"で作られるものだということが理解していただければ結構です。
 日本の代表的な農産物であるお米の場合,「魚沼産コシヒカリ」と聞くとほとんどの人がおいしいお米 であると想像がつくと思います。"魚沼"という地域は"コシヒカリ"という品種のお米を栽培するのに最適な環境条件を 持っていると言われています。品種の特徴と環境の特徴とが一致し,その上で丁寧な農業が行われればおいしい お米ができるということですね。コーヒーも農産物である以上,全く同じことが言えます。