じめっとした梅雨時期に楽しみたい,季節のブレンドです。
このブレンドを作る時にはいつも、しっとりとした梅雨空の下で咲く紫色のアジサイをイメージしていました。が、先日お花屋さんに並ぶ鉢植えのアジサイを見て、アジサイはもう必ずしも紫ではないのを感じました。白やグリーンっぽいもの、ピンクや少し黄色がかったもの、スミレのように縁からグラデーションのあるもの。花びら(がく)の大きさや形も様々です。そこでふと思い浮かんできた言葉が、「カオス」でした。アジサイの世界は、まさにカオス。そもそもアジサイの成り立ちを見ると、小さなものがたくさん集まって全体の大きな花の形が出来上がっている集合体で、そんな様子からもカオスな雰囲気が感じられます。そこで、そんな色も形も、そして成り立ちまでもがカオスなアジサイを、今回のブレンドでは表現してみようと考えてみました。
”カオス”なブレンドにするためには、たくさんの種類を混ぜることになります。しかしながらただたくさんの豆を混ぜてしまうとそれぞれの個性が消えてしまって、ただの一つの色しか感じられなくなってしまいます。そこでまずは小さなブレンドをいくつか作り、それぞれのブレンドどうしを組み合わせて大きなブレンドにすることにしました。選ぶ豆の種類は、アジサイの別名でもある「七変化」や雨上がりの「虹色」になぞらえて、7種類としました。
1つ目のカオスは、程よいボディ感とクリアな質感のあるタンザニアの”ハイツ農園”、ホンジュラスの”オロ・デ・チャギテ”、コスタリカの”インペリオ・ロホ・ミル”の3種類を選び、ローストポイントも少し高めにして小ブレンドを作りました(※カオス①)。2つ目は、豆質が柔らかめで優しい甘みのあるルワンダの”ルウェセロ・ヒル”、グァテマラの”サンタ・バルバラ”の2種類を組み合わせて、ローストポイントを若干低めに設定(※カオス②)。それから3つ目には、マイルドでバランスの良いグァテマラ”サンタ・カタリーナ農園”をベースに華やかな香りとフルーティな甘味が特徴のエチオピアの”イルガチェフェ・ナチュラル”を合わせた”杜の都・ブレンド”を使うことにしました(※カオス③)。こうしてできた質感の異なる3つの小ブレンド(カオス①、②、③)を、規則的なアジサイの形をイメージして当配分で合わせて完成です。
マイルドでバランスの良い中に,透明感のある柔らかな果実感を楽しんでいただけます。今年しか味わえないカオスなブレンドを、ぜひお楽しみください。季節限定です。
【ブレンドに使っている豆】
カオス①:タンザニア、ホンジュラス、コスタリカ
カオス②:ルワンダ、グァテマラ
カオス③:グァテマラ、エチオピアN